イラストレーターとして思うこと

 

実りあるお仕事も多い一方で、本当に悲しくなる仕事も、残念ながらある。

プロとしてそういう仕事を嗅ぎ分ける嗅覚を鍛えていかなければ、といつも痛感する。

今までそれなりに実績を上げてきているつもりではいたけれど、

「やるんじゃなかった」と思う仕事も時々あったりする。

「私が受けるべき仕事かどうか」「信頼できる相手かどうか」を見極める力が私には足りない。

今年も悲しいことがいくつかあった。

 

例えば、作風と合わない表現を要求され

「なんでそれを私に依頼してきたの?」というトンチンカンなケース。

 

あるいは意に反する使われ方をされて

「こういうデザインになりました、決定稿なのでもう変えられません」っていう理不尽なケース。

なんのための確認なのか…といいたい。

 

そしてもっとひどいのは納品したイラストの一部を勝手に描き変えられていたこと!

これにはもう呆れるしかない。

多分猛烈に抗議して正式に訴えればそれなりに何かあるかもしれないが、

そういう仕事に関わったこと自体忘れてしまいたいし、

もう連絡をとる気にもなれない。

プロとしてのプライドも傷つけられて、とても悲しくて虚しい。

頑張った自分が報われない。

 

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とある仕事の話。

プレゼンの話が来たので「参加したい」旨を伝えたいところ、

「では詳細が決まったら連絡します」との返事が。

その後1ヶ月以上返事がないので、プレゼンがダメだったのかなと思っていた矢先、

「内容が決まったので描いてほしい、ただし納期が短い」とのこと。

確かに当初のスケジュールとは大幅にずれている。

この時点で断ればよかったのかもしれないが、一度プレゼンに参加したのと、

点数が1点だけになったので、ならばと思い引き受けた。

すると蓋を開けてみたら、最初の依頼時のイラストの内容と大幅に違う。

 

それでも「一旦引き受けてしまった以上は責任もってやるしかない、早く仕上げてしまおうー」

と納期よりも数日早めに出したにも関わらず、

修正の返答が小出しにされ、最終的には印刷の入稿日当日に新しい修正の依頼が。

それが当日何度か続き、「もうこれ以上はできません」と断りを入れ、

外出でメール確認できなかった間に、

代理店側で勝手にイラストを改変して入稿されてしまった、というのがことの顛末。

ほんとに怒りしか湧かない。

 

もし仮にその出来がすごくよくなっていて私のイメージ通りなら、こんな感情は湧かないし、

(もちろん本人の確認なしに創作物を改変することは悪質な違法行為だけれども)

信頼できるデザイナーさんが誠意をもって仕上げてくれていたら、不本意でも私も納得すると思う。

ただ残念ながら結果は違った。

クライアントのいうことをただ聞いただけに思えた。

 

クライアントの意見を何でも簡単に受け入れる代理店。

クライアントを説得するのもスケジュール管理するのも、

イラストレーターに誠意をもってきちんと発注するのも代理店の仕事のはず。

そしてきっとクライアントは私の普段のイラスト作品をほとんど見たこともないんだろう。

誰でもよかったんだと思う。

そんな相手のために私は頑張って描いていたんだ…と思うと悲しい。

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顔の見えない相手と、何のリスペクトもない関係で進める仕事ほど無意味なものはない。

なんのための仕事なんだろう。誰にとっても幸せになれない。

制作期間中は辛かったし、終わった後ももっと辛い。

お互いにとって幸福な仕事でありたい。

 

本当のプロは、そういう無茶ぶりに対応できる人ではなく、

ちゃんと自分しかできない仕事を選別し、正々堂々と表現できる人のことなんだろうな、と思う。

 

それなりにキャリアを重ねてきて、失敗もあったし、痛い目にもあった。

打たれ強くなったとも思う。

でもいつも後悔と反省ばかり繰り返すのは

気持ちが通わない相手との仕事をつい引き受けてしまう自分の脇の甘さ。

なので今年もまだプロになりきれてないな…と。

これを教訓に乗り越えていくしかない。

 

普段はこういう愚痴っぽいことはあまり書かないようにしていますが、

自分への反省を込めて、

また誰かに少しでも響くことがあれば、

と思い、長々と綴ってみました。

 

来年こそは、胸をはれる仕事だけを引き受けて頑張りたい。